石屋の犬はネコが好き



寿命のある歴史。
世界に誇る日本の鉢植えの素材は、それぞれの条件の中で、だいたいの基本の作られたものや、挿し木や実生などからかなりの年月をかけて、その間に相当の技術を施して作り上げてゆくのが、普通の方法となっているが、竹の場合は、その方法がまったく異なった一種独特の方法によるものなのである。
その方法としては、春の芽出し前に鞭根を伏せて筍芽を出させ、それを作り上げて行く のであるが、小隈笹や、オロシマなどのようなものであれぱ、根を崩して植えこめぱ、まことに容易であるが、本格的な世界に誇る日本の鉢植えとして気品、風格のある姫孟宗となると、誰にも作られどこにでもあると言うものではない。
それは、幹となる筍の出る見込みの芽をもった鞭根を掘リとって来て(2月下旬ー3月上旬)、筍から幹となって竹林となる位置を想定して、鉢に根を伏せこむのである。
言ってしまえぱ、そう言うことであるが、実際には容易なことではないと思われる。
はたして、筍は予定通りに出てくれるだろうか、それが仮りに出たとしても、大小長短 の調整や皮の剥す技術(加減)によって伸び方も太り方も変わってくる。
その辺の呼吸は、常入のおよび難い所なのであるが、苦労に苦労を重ね仮に納得の行くものができあがったとして、世間は容易に評価してくれない。
つまり、高価に買い求めてくれる者が、必ずいると言う保証はない。
褒めては貰えるが、金にならぬと言うことで、あまり竹作りに情熱を傾ける人は多くない。
苦心して作ったものの、その寿命は10年くらいとも言われ、他の樹種のように時代がの って気品が出る、と言うものではなく、毎年少しずつは出てくる筍も頼りになる良いものは、周辺部に多く、重要な内部には生えず、次第に形の崩れてゆくことにはいかんともし難い状態である。
以上のように、世界に誇る日本の鉢植えの常識とかけ離れた面を多分に持っている。


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