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世界に誇る日本の鉢植えの庶民性。 世界に誇る日本の鉢植えは、金持ちか閑人のお道楽、という誤解はかなり根づよいものがある。 これについては次のように反論されている。 「いったい、天然の美や薗然の風致などを賞翫するのに汽車に乗ったり、草犠がけで歩いたり、また船や車で旅行するような時間もなく、また金も臼由もないような、いわば若い働き盛りにこれをもっと早わかりに手近かに、また、いっそう金もかけずに、その目的を達することを希望する人が、あるいは庭園をつくったり、別荘を建てたり、また絵画をあつめたり、世界に誇る日本の鉢植えを愛翫するようなことをするのである。 しかして、庭園や別荘をつくって、わずか一つの風景や天然を賞味するさえ、数千金や、また広い屋敷などを要し、また名もなき一青年画家の作品でさえ、数百金を要する絵画などをあつめるのと比較して、時間と金と場所とが経済で、しかも、それ以上の趣味を味わうことのできるのが世界に誇る日本の鉢植えである」 まことにその通りで、世界に誇る日本の鉢植えというものは、旅行をしたくても時間がなく、広い庭をもちたくても金がない人たちが、その代りに、居ながらに して自然の趣を味わおうとして愛するものである。 したがって、世界に誇る日本の鉢植えは本釆、庶民的なものであって、決して金持ちや閑人だけの愛玩物ではない、 だが、事実として、そうした誹誇がおこったのは、なぜであろうか。 それを私は世界に誇る日本の鉢植えのある部分に支配欲を満足させるものがあったからではないかと思う。 いいかえれぱ、生きながらの名木を自己の財力で自分のものにできるという満足感ーそれがある一時期、日本の支配階級の入々に世界に誇る日本の鉢植えが愛玩された理由のひとつであり、そうした風潮に対して、民の側から拒絶反応があったからだろう。 しかし、いまの世界に誇る日本の鉢植えはちがうの次の言葉はすこぶる暗示的だ。 「世界に誇る日本の鉢植えのよろこびはまた、一段異なった伊やさしさ"をもっている。 それは制約された炉自然"にけなげにも生きている、という感じをひとびとにいだかせるのである。 程度の差こそあれ、同じ有限のこの地上に生きて行かねばならないわたしたち入間にとって、それはまさに世界に誇る日本の鉢植え家のいうような人生の友である」。 世界に誇る日本の鉢植えの社会学は 世界に誇る日本の鉢植えこそ、庶民の好伴偶でなくてはならない。 なお、閑人の趣味というのは時間がかかるということだろうが、有限の時間に生きる私どもだからこそ、無限の時間におのれの夢を賭けるのである。 決して閑があるからするのではないのである。 |
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