直幹の枝配り"二裏"。 直幹の勝手、つまり、鉢への植え付け位置および席飾りの位置について述べる前に、直幹における枝配り作法について述べてみます。 前述したように、直幹は幹の周囲に均等に枝が出ているものとはいっても、その好ましい枝付きについては、一定の考え方が鉢植え界にはあります。 大きく分けて、つぎに述べる二通りの考え方が鉢植え界では主流になっています。 そのひとつは、正面から見て主要な役枝の配列が、右ー左-裏・右ー左-裏・右-左-裏(図C)、あるいはこの逆に、左ー右-裏のくり返しになっているものです。 もうひとつは、やはり正面から見て主要な役枝が、右ー裏-左・右-裏-左・右-裏-左(図O)、あるいは逆に、左-裏-右のくり返しになっているものです。 いずれも、直幹樹形の基本的な枝配りとして、鉢植え界ではかなり以前からこの技法が知られています。 そして、後者の二の枝が裏に当たる枝配りのものを、鉢植え界では"二斑"と呼び、前者よりもより大木感・商木感を現わすものとしています。 各役枝の上下の閥隔については、それぞれが樹高に応じて適当な閲隔を保っていることが望まれます。 そして、左右と褒の三枝が一群の枝として適度に重なっていることが普通です。 ただし、各群の枝が確実に離れていなけれぱならないということではありません。 枝張りと勝手の関係。 以上は枝付きの状態を示したものですが、砿幹においては、この枝付きそのものと勝手(植え付け位置・飾り方など)との間には直接的な関速性はないようです。 勝手の係わりからいえば、この各役枝のボリュームと長さが重要な要素となります。 これほど極端でなくとも、植え替えの不備や手入れの悪さで作落ちした赤松日本の世界に誇る鉢植えは、愛好家の棚ではしばしば見られます。 結果的にこの樹に関しては十分な成果があげられませんでした(後述)が、植え替えなぜそうなったかを知っていただくために敢えて紹介するものです。 作を回復させるためのポイントは、一にも二にも植え替えと培養です抑最適期に根をよく捌き、荒めの用土で植え込んで、水と肥料をタップリとやる。 これにつきます。 また、改作作業を充分作が回復してから行なうことも、それに劣らず重要です。 締め込み作業としては、秋芽切リの手法を活用するのが、最も効果的です。 通常の短葉法の芽切りは6〜7月に切りますが、これを2ヵ月ほど遅らせ、9-10月に切12ます。 こうすると、切られたところに二番芽を詩ちますが、その芽は動かずに充実した状態で冬を越し、春から勢いよく伸び出すのです。 しかしこれも作がのっていてはじめて真価を発揮し、またすべての芽を切らなければ著しい効果は望めません。 その点、くれぐれもこ注意下さい。 この樹の場合、ある程度作が回復したのを見て芽切リを行ないましたが、実はその芽切リは短葉法の芽切りであ12、結果的にかえって作の回復を遅らせてしまいました。 もう2考月待って秋芽切12をしなけれぱならなかったのです。 わずか2ヵ月の差ですが、この差は大きい。 ただ、吉田周司氏にこの責任はありません。 なぜなら、周司氏が担当したのは芽切りの翌年の植え替えからであ12、それ以前の旭当者の失敗だからです。 |