素材の骨組。 素材の骨格から、蕪本的な形をとり鵬せばやはりこれまで述べてきたような姿となる。 素材ヒ部の切断面はやや上向きであり、切断面下から出る役枝の部分の幅を利用している。 この幅が、将来、模様となる。 芯立てした芽は、 前記の模様木・双幹につづき、今回は直幹と多幹について検討してみる。 直幹の場合は、模様木にくらべて曲がなく、樹芯の方向も真上に向かうことが基本のため、勝手の判断は他の要素に負うところが多い。 まさしく根張り、立ち上がりの微妙な読みが必要であり、枝付き、枝の大きさがその判断材料になる。 多幹の場合には、その点やや明瞭である。 とくに寄せ植えの場合は主木の幹振りとその植え位置によって、鉢植えとしての勝手は比較的容易に決定できるのである。 葉の色も金性とは思えないほど、悪かったが、色艶も回復してきている。 懸崖樹は、垂れさがっているために、上部の枝と下部ではかなり樹勢の違いがでてくる。 上部の樹勢の強い部分は、1年に数回、芽つみを行っているが、下部の枝は伸ばし気味にし芽つみの回数を減らし、平均化をはかった。 山採りされてから10年は、経ているだろう。 片野氏のもとへ来る以前に、一度、整姿が行われている。 さ一て、この懸崖をどうするか。 以前、整姿された正面は、立ちあがりから、グッとカーブを描いている。 神・舎利の美しさを重視して、正面と決めたようだ。 しかし、この正面では根元からの水吸い、つまり生きている部分が見えない。 いくら全体が美しく見えても、水吸いと舎利か一緒に映って見えなけれぱ、シンパクの苦難の果てに日本の世界に誇る鉢植えにたどりついた、生きざまを表現できないと思う。 根元から水吸いと舎利がはっきり見えるところがあれぱ、そこを正面としたい。 それは、以前整姿された正面の裏面にあった。 根元から、水吸いが這い、さらに幹がカープを描きはじめるとともに、2手にわかれて、枝先に至っている。 この面を正面としよう。 表裏をかえてしまうのだ。 枝全体を、もっと上部へ、引っ張りあげなけれぱならない。 新しい正面から見て、裏側の一番下に垂れ下がっている枝は、30pほど持ちあげる必要がある。 樹冠部も、かな12回し込んで作らなければならない。 死と化している部分であるから、大切にしないといけない。 現在のところ、腐り防止にはこの方法しかない。 氏のシンパク再生の記事に詳しく説明されているが、ここで、カンタンに復習しておこう。 |