台風の跡
取り木前の準備。 素材は取り木前にある程度作っておいた方がよい。 取り木期間中は生育が遅くなるためである。 まず、充分に肥やしておいた素材の目的とする曲のどこからどの部分が必要かをエンビツなどで印をつける。 つぎにその必要な部分の上、数p〜10数p上で、素材の上部を切断する。 切断の時期は6月ごろがよい。 充分に肥培しておいた素材では、この時期に切られると、ちょうど目的の曲の部分に、たくさんのアタリ芽を持つ。 このアタリ芽を利用して骨組みを作る作業に入るわけである。 したがって、ちょうど期待する部分にアタリが生じれぱよいのであるが、でない場合もある。 この時は呼び接ぎ等で芽を持たせることになる。 切断時の素材。 素材上部を切断するのは、必要な幹の曲部分を得たいことは無論であるが、大きな理由は、樹勢を追い込みながら目的部分に芽を吹かせることにある。 前年から肥培しておくのもそのためである。 また切断も、しだいに追い込みながら、ヤケ込みの具合等注意しながら基部へ、昌的のところへと吹かせていくことになる。 アタリ芽。 切にしたい。 そのうち芯になりそうな芽は大彊にし他は押さえぎみに待機させておく。 この芯を走らせる具合で、後の出来が決定する。 6月の入梅時は春からの新梢が充実する時期であり、もっとも活着率が高い。 また徒長枝を利用した長大な挿し穂を得ることができ、あらかじめ曲づけしておけば白由な樹形の素材を得ることができる。 9月に挿し芽をする場合は、発根期間が短くなるため上旬のうちにしたほうがよいといわれる。 なお、この9月に剪定してその年の新梢を挿し芽することには別の意味がある。 それは秋の展示会シーズンに合わせて長寿梅の花を咲かせるにはこの時期に新梢の剪定を行うと効果があるからでしょう。 長寿梅は四季咲き性であるといわれる。 ボケの一種だから一般的には春に咲く花が多いのだが、樹勢の充実度と新梢の剪定時期によっては、花芽の分化と開花を促進させることができる。 とくに春から伸び出した新梢が充実する6月の入梅時に剪定すると、約20日間でその基部に開花が認められるようになります。 いっぽう、秋の9月にその年の新梢を元から2〜3節残して剪定すると、約1か月ほどで開花が始まるようになります。 小枝分れができ、樹姿にまとまりができれぱ花のない時期でも観賞はできるが、やはり花もの・実もの日本の世界に誇る鉢植えとしての長寿梅には、数輪でもよいから花が欲しい。 秋に、花と実と黄葉がともに楽しめる姿は長寿梅ならではの醍醐味でしょう。 添え草から本格日本の世界に誇る鉢植えまで幅広く楽しめる 長寿梅は本来が株立ちを呈するため、皐月と同様、直幹以外ならどんな樹形に仕立てても、楽しめる特性をもっている。 とくに、コグマザサや屋久島ザサ、コガネシダなどと取り合わせた草もの日本の世界に誇る鉢植えや、日本の世界に誇る鉢植え席飾りの添え草としては、季節を間わず用いることができるため、もっとも広く用いられている。 |