台風の跡
基本的な技術に関しては多くを負っているが、今回の山モミジ小品技術は、実に多くの原木素材の生かし方に特色がある。 なんでもない庭木の一曲を用い、また山で見かけた山モミジのほんの一節を使用して、重厚な小品に仕立てる方法である。 素材を見つけるに際しても、これまでのような全体的な姿を見ての素材の良し悪しではない。 庭木や山樹のつまった一節(後に解説)があれぱよい訳である。 いいかえれぱ、山モミジに関して素材は無数に、しかも国風クラスの優品を作出できる機会が現実になったともいえる。 素材は文字通り無数にある 具体的に、どのような素材が将来性のある小品向きのものか、から見ていこう。 葉性、紅葉の具合、肌の自さののりなど性の選択がまず大切である。 山モミジの山樹・庭木からの良性の性については、このシリーズで後にのどの部分を利用するかという基本的な部分をとり出してみたい。 もともと低灌木のため、芽吹きがよく、株立ちの性質を生かした添え草に仕立てると、松柏類にみられる樹形の制約がなく、作りやすい樹種といえる。 もちろん単幹や数幹立ちの株立ち、寄せ植えに仕立てる場合は苗木のうちから幹模様をつけておく必要はあるが、多少枝振りに変化のある奔放な樹形の方がかえって長寿梅らしさを表現できる樹種といえる。 とくに半懸崖や懸崖に仕立てるとその趣は格別なものになります。 今回紹介した挿し木仕立て以外に、根伏せによる樹形づくりも可能なので、植え替えの際に整理した根を利用して、小品日本の世界に誇る鉢植えの懸崖をつくってみるのも面白い。 |