TOPへ  >   戻る

絵日記


絵日記のこえ

台風の跡 曲ある素材のまがり。
一曲の角度は90度かそれ以上あってもよい。
形としてはちょうど人さし指を直角にまげたような具合である。
(現物参照)索材だけを見れば、馬の背状の面自くない曲であるが、後にこの曲が生きてくる。
素材そのものの太みに加えて、芯として伸長させた一枝が、樹形の全体の形に影響して、見事なコケ順と変化していく。
一曲ある素材は、古樹の根元付近等の場合、枝を持っていないことが多い、つまり面自い一曲だけがある幹である。
こうした素材こそが、後に優品となる可能性を秘めている。
幹の曲部だけを利用し、枝は呼び接ぎなどによって得るのである。
また模様の最初の曲は素材の曲がそのまま生かされ、第二の曲は切断した幹の最も幅の広い部分となる。
(イラスト参照)特に山樹の場合、屈曲した部分は自然に節がつまっていることが多く、庭木の枝に曲付けするところで述べたように、後の培養に好都合なことが多いのである。
今まで無視されてきた、一曲の素材、それはつきつめれぱO節の素材という意味であるが、この活用は今後の小品鉢植えに与える影響は非常に大きいと恩われる。
先に山モミジ素材、しかも国風クラスにまでの将来性ある素材は、無数にあると述ぺた理由は、ここにあ所でも曲のある部分。
A園芸品等の太幹樹で、一曲あるいは一節の屈曲を生かす。
B庭木等の一曲ある部分、または O枝のうち節間のつまった辺りを生かす。
TOPへ >  戻る

これの繰り返しが、日本の世界に誇る鉢植えを作る過程においてよくあることだ。
これはプロ・アマ間わない。
生命あるモノと相対する時、どんな生命であっても、それなりの熱意をもって、むかえてやる必要がある。
そんな思いの蓄積が大切ではないだろうか。
この寒椿を整姿する以前に、何かこの樹にあった言葉を探して、本をめくっていると、山畑禄郎氏のこんな句が目にとまった。
.寒椿目覚めて含も鰹蠢響と」(朝日新聞社・季寄せより抜騨冒 冬の朝、椿の花を見て、生きる勇気がわいてきた……単純に直訳すると、そんな意味になるだろうか。
何か人に勇気をあたえてくれる、ダイナミックな力強さが、この寒椿にはあるような気がする。
朝起きて、日本の世界に誇る鉢植えの前にたった時、今日1日の励みになる……そんな将来像に思いをはせていた。
確かに、寒椿は勇気をあたえてくれた。
この樹を整姿した作家に、ちがった自分の側面を教えてくれた。
それは、勇気をあたえてくれたに等しい。
新しい朝がきたのだ。

お好み  トップへ 戻る
inserted by FC2 system