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絵日記


絵日記のこえ

台風の目 ネズミサシの古樹が年々少なくなるのは手入れ次第によることが多いものである。
現物のネズミサシも、水切れを何度かくり返したような放置状態であれぱ枯死したとしても、不思議ではないのである。
その原因は前述のように手入れの不足によることが大きい。
仕上ってきた樹は枝の棚もできて、枝ごとの厚みも増してくる。
この姿でいっせいに外へ外へと小さな芽が密集して増えるのだから、蒸れの状態はひどいわけである。
ネズミサシの枝枯れは他にも原因があるが、芽摘みをくリ返して(幼芽を次々に摘む)いるために枝の樹勢が落ちる。
しかも通風が悪いため、突然にせっかく苦労して作ってきた大枝が枯れる場合もある。
作業のネズミサシの場合、枝決めして基本枝を構成し(下の土の枝から)順に上に形を出していく。
1本ごとに剪定を行ない、切り込める範囲で追い込みをかけている。
中品ネズミサシの締 まった樹形が目的なのである。
枝の内部に使用できる枝が少ないため、段階的に追い込んでいく。
作業後の姿では頭を飛ばしたため新木に近いような印象だが、これも将来性を考えての作業である。
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この樹は、皐月の畑作りの樹形と似ている。
今ある旺盛な枝振りも以前、一度、丸裸に切りこんだものから、発達したものだ。
では、太い幹のもつダイナミズムをいかに表現するか……まず、すべての枝を下げる。
大地に向かって、グッと張りだしているようにする。
そうすれば、どつしりとした重量感が生まれる。
現在、枝葉が上へとはねあがっている。
天に向かって、ジャンプしている。
樹勢が強い、元気印の椿。
樹頂部も、まるで太陽のほうに顔を向けて、全身に光を浴びようとしている。
葉も黒光りし、ツヤツヤと、健康優良児といったところ。
何か所か大きな傷あとがある。
正面の幹、左側面の足元、そして、樹頂部にも大きな傷がある。
しかし、痛々しさがない。
旺盛な枝が、傷あとを忘れさせてくれる。
だが、健康的にいくら上にのびていても、生理的に強さが感じられるだけのことで、鑑賞する場合、つまり美的に観ると、その逆のことがいえる。
上方へのびるままに作ると、樹の高さは表現できるが、横のひろがりが狭く感じられるようになります。
細くなって見えるのだ。
これでは、樹のもつダイナミックな力強さを表現できない。
そこで、上方へと向いている、枝下げてみる。
下方へ、横へと下げていけば、ひろがりがうまれてくる。

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